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(2015年02月10日)
中央政法工作会議が2015年1月20日に北京で開催された。習近平中共中央総書記・国家主席・中央軍事委員会主席が講話をし、政法(政治・司法)機関は、国の安全と社会の安定を維持する上で重要な責任を果たさなければならないと述べた。 政法の腐敗も問題になっているところ、改めて公正・公平・正義が政法のキーワードになるが、このために政法体制改革が行われ、厳格な法の執行が要請されるようになるだろう。 政法体制改革は、市民のためのものであるはずだが、本当にそうであるのか疑わしいような気もする。 2014年12月31日、ライトアップされた上海外灘で新年のカウントダウンをしようと市民や観光客が押し寄せ、将棋倒しが起き、36人が死亡、47人が負傷した事故が発生した。この事故現場で初七日の法要を営もうとした遺族が集まったところ、「慰安スタッフ」と称する人達により、犠牲者の遺族らは指定されたルートに誘導され、かつ、遺族たちは家族単位で引き離されたため、悲しみを共有したり、補償内容を比較したり、連帯したりする機会はなかったという(ウォール・ストリート・ジャーナル 2015 年 1 月 21 日、日本語電子版)。 国家インターネット情報弁公室は、1月20日にチャットアプリ「微信」(ウィーチャット)で共産党史や中国史を歪曲する情報が発信されていたとして、この情報発信源とされ133件のアカウントを閉鎖したという発表をした。 中共中央政治局は、1月23日に「国家安全戦略綱要」を審議、採択した。国内外の政治、軍事などを含めた総体的な綱要であるが、これは、国の安全を有効に確保し、中国の特色ある社会主義制度を整え、国の統治体系および統治能力を高める上で必ず必要なことであるとされている。 ただ、以上のような政策的判断、措置を見るにつけ、市民が等閑にされていると感じない訳にはいかない。法的手段に訴えることも、政治を自由に語ることも、これに対する規制が厳しくなってきている。政法改革を進めるのであれば、市民のためということを一義的にした改革を検討しなければならない。 そうであると、中国の特色ある社会主義制度を整える場合でも、市民が参加して制度設計をしていくことが大切ではないだろうか。
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