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(2016年4月13日)
中国資源総合利用協会のデータによると、古着がゴミとして廃棄される量が毎年2600万トンに上り、しかもゴミとして処理される ものは、無害化処理もされていないという。再利用率は1%でしかない。このために水質、土壌、空気汚染の懸念がある。古着が全て焼却処理されたとすると、 発がん物質を発生させ、また、全てを埋め立てると、腐爛、化学繊維の溶解による土壌・水質汚染を引き起こす(経済参考報 2016年3月28日)。 一方、有効再利用するとその効果は大きい。中国紡織工業連合会の推算では、廃棄される紡織品が全量回収・再利用され、 化学繊維および天然繊維に利用されると、原油2,400トン相当が節約され、二酸化炭素排出量を8,000万トン減らし、綿花栽培面積の3分の1を節約す ることになるという(同上)。 中国は、COP21で温室効果ガス排出量を大幅に減らすと宣言した。温室効果ガスだけでなく気候変動全般に対して世界のリーダーになると言う。これを実現しようとするとき、さまざまな資源の再生利用を行うことが重要になる。 古着の回収および有効利用もそうだが、資源ゴミの回収方法、再生技術、再生資源の利用方法などのシステムや技術を確立し なければならない。これを担う人材、企業の営業許可、再生施設の規格などを構築することも必要である。これを規律するためには法律がなくてはならず、この 立法もしなければならない。 現在、これがどのように行われているのか。資源ゴミの回収などは、小さな家族経営の会社が行い、ここで使われている人の90%程度は内陸部からの出稼ぎ労働者たちである。彼らのほとんどは、安全や環境問題には無頓着である。 中国が環境問題で世界のリーダーになろうというのであれば、国が単に指標を出すだけでは全く効果がなく、底辺の環境問題 に直接かかわっている労働者、企業経営者の意識改革、モラルの向上、環境問題に対する教育から始めなければならない。そして、法整備をし、法によって規律 された制度が有効に機能するようにしなければならない。政府の掛け声だけでは意味がない。 また、資源の再利用、環境保護に関する技術を高める必要がある。ゴミ焼却場や廃棄物処理施設など環境関連の施設を整備することも不可欠である。例えば、中国の建設現場の資源ゴミの再生利用率は、日本の97%に対して5%でしかないのが現状である。 この点に関しては、外国企業にとって中国市場への参入チャンスが大きくなる。
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