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Last Update:2016/05/25
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コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第308回 市民参与と環境団体の権限強化

The Public Participation and The Enhancement of Environmental Organization

(2016年5月25日)

  環境保護法(改正)が2015年1月1日から施行され、1年半が経過しようとしている。このとき、国務院弁公庁は、4月28日に「生態保護補償メカニズムを健全に関する意見」(以下、「意見」という。)を発布した。
  意見は、以下の7つの方面において体制の刷新を図るという。第一に、(1)各種ルートから資金を調達し、安定的投資メカニズムを形成し、保護補償を充実させる。第二に、(2)重点生態区の補償メカニズムを整え、生態保護を厳守するレッドラインを定め、生態保護補償政策を研究・制定する。第三に、(3)横断的な生態保護補償を推進し、地方の補償を主とし、中央財政が支援する横断的生態保護補償メカニズム規則を研究・制定する。第四に、(4)制度を健全にし、生態製品の生産能力を基礎とし、観測方法を整え、生態保護補償基準体系を速やかに確立する。第五に、(5)政策の協働メカニズムを刷新し、生態環境損害賠償、生態製品市場取引および生態保護補償協働推進する生態環境保護の新しいメカニズムを研究・確立する。第六に、(6)生態保護補償推進と貧困脱出、資金使用方式の刷新を結びつけ、貧困地区の生態総合補償の実験を展開し、生態貧困脱出の新たな方途を見つける。第七に、(7)法治建設を速やかに推進し、絶えず生態保護補償の制度化と法制化を推進する。
  意見は、生態保護補償を実施することは、各方面の積極性、良好な生態環境を保護する重要な手段を動員するもので、生態文明制度建設の重要な内容であると指摘している。
  環境保護法(改正)および今回発布された意見において注目すべき点は、生態保護補償のために権利と責任を統一し、合理的補償をするという原則に従って、政府の主導、社会の参与が要請されることになるという点である。
  政府の主導、社会の参与とは、政府が生態環境保護において主導的な役割を発揮し、速やかに制度を確立し、法令・政策を整え、体制メカニズムを刷新し、補償のルートを広げ、経済・法律などの手段によって政府による民間サービスへ委託を拡大し、社会大衆の積極的な参与を引き出すことを言う。
  環境保護法(改正)において、すでに社会の参画機会が増やされ、環境団体の権利能力が拡大強化されている。区・市レベル以上の人民政府民生部門に登記し、環境保護公益活動に5年以上従事している社会組織は、生態環境破壊行為に対して人民法院に訴えを提起する権利を有するとされている(環境保護法第58条)。
  中国政府が市民参画型の行政を行おうとしていると評価したい。しかし、現実にはNGOを設立しようとする場合、共産党委員会を設置しなければ設立許可されないということなどがある。そうであると、真に市民参画型の行政が行われるということにはならないのではないか。対面を繕っているだけにならなければ良いがと懸念もする。

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