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LastupDate:2004/12/08
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コラム、『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第31回 中国の文化意識:西洋文化との対立と融合

(2004年12月08日執筆)


外国文化の流入は狼かパートナーか

   2004年11月1日付『経済参考報』に「ワーナーは、狼かパートナーか」(華納是狼還是合作者)という記事が掲載された。
   これは、10月中旬に米ワーナー・ブラザーズが、中国最大の国有映画会社であり、中国放送映画テレビ総局傘下の「中国電影集団」と映画撮影所を運営する私営企業の「横店集団」と合弁会社「中影華納横店影視」の設立認可を中国政府から得たことを受けてのものである。ワーナーが資本金の4割を出資し、中国パートナーの2社がそれぞれ3割ずつ出資する。中国が、映画の製作・配給事業で中外合弁会社の設立を認めた初のケースであり、これで中国の映画市場に初めて外資が本格参入することになる。
  合弁会社は、映画製作への投資や自前で映画を作り配給するほか、テレビドラマの製作も計画している。中央政府の認可を取得済みで、年明けにも第1弾の作品の撮影を始めるという。 今、中国でWTO加盟により、当該分野の市場も外国に開放することが約束され、これに基づく措置が講じられつつある。
   商務省と国家放送映画テレビ総局は、11月に国内のテレビ・ラジオ番組制作会社に外資の出資を認める「放送テレビ番組制作経営企業管理暫定規定」を公布した。この規定は、(1)外資の出資比率は49%以下でなければならず、(2)政治ニュース番組は認めず、(3)年間に制作する番組の3分の2以上は中国をテーマにしなければならないなどの規制を設けているが、当該分野に外資の参入を認めたことには間違いない。
  この直後の11月24日に、ソニーの米テレビ番組制作会社、ソニー・ピクチャーズ・テレビジョン・インターナショナルは、中国の国営大手映画会社、中国電影グループ傘下の華龍フィルム・デジタル・プロダクションと合弁でテレビ番組の制作会社を設立したと発表した。

「百花斉放、百家争鳴」の時代

   中国の統計によると、中国で映画館は12万ヵ所、年間の映画放映回数は3,424万回、観衆は4億6,000万人、チケット販売額は8億5,000万元である。毎年20%以上の成長産業であるという。全文化産業ということでは、2005年の潜在的な消費能力は5,500億元になると予測されている。
   外国企業の思い入れとは別に、この産業分野への外資の参入を全ての中国人が、必ずしも好ましいとは考えているわけではないようである。カラオケやディスコで使用される音楽や映像は、その90%が外国のものであるともいわれる。外資参入チャンスは、非常に大きいものがあるといえるのだが。
  西洋文化が持ち込む個人主義、道徳倫理観、人生観および価値観などが、果たして中国の伝統的な価値観、または共産党の価値観に適当といえるか否かというと、反対の意識が強い。しかし、WTO加盟の約束であるから仕方がないというのがホンネである。当面は、「百花斉放、百家争鳴」の方針を採らざるを得ない。西洋文化との融合は可能なのだろうか。対立する場面が生じることがあるであろう。中国進出企業が、現地企業内で中国側経営者や労働者との企業文化の差異で戸惑うことが少なからずあるのと同様である。 「ワーナーは、狼かパートナーか」という大見出しは、外資に対する警戒感、抵抗感、文化摩擦があることの証左であろうか。  



次号の更新は12月22日(水)ころを予定しています。

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