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Last Update:2016/10/26
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コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第318回 日本経済実力の再認識と評価

Re-realization and Re-evaluation of Japan’s Economic Power

(2016年10月26日)

  最近、中国で日本経済・技術の実力を改めて認識し、高く評価する傾向が見られ始めている。多くの中国人は、日本に対して「没落した先進国」とか「経済の発展が止まっている」という印象を持っているだろうが、日本の真の実力はそんなものではないと言う報道が増えているようだ。日本に対して、外国の調査機関やメディアの発表を引用して、以下のようなことが中央テレビ(CCTV)、新聞、研究機関のホームページなどで報道され、さらにWeChatでも広まっている。
  第一に挙げられるのがイノベーション力である。
  中国知識管理センターは、トンプソン・ロイター(Thomson Reuters)の発表を引用し、2015年のグローバル・イノベーション企業トップ100に日本が40社名を連ね、この数は米国35社、フランス10社、ドイツ4社を上回り、国別でトップである。とりわけ、B2B、新材料、AI、医療、生物、新エネルギー、インターネット物流、ロボット、環境保護、資源再利用などの新分野で優れている。また、エコノミスト誌が発表した2015年の国家イノベーション・クオリティ報告(イノベーションの経済成長に対する貢献度)では、日本が世界第3位に位置付けられている。マッケンジーの2013年の生活・商業及び世界経済を大きく転換する12大技術について、日本はほぼいずれも世界3位以内に位置付けられている。
  第二に、日本の技術力である。
  以下の4つの指標で日本は世界の最前列にある。1つは、研究開発費のGDPに占める割合が世界第1位である。2つは、企業主導の研究開発費が全県キュ開発費に占める割合が世界第1位である。3つは、日本の中核特許で世界第1位に位置付けられるものが80%以上ある。4つは、日本の特許供与率が80%以上と高く、特許の質の高さが伺える。
  第三に、知られざる日本のイノベーション力である。世界のハイテク企業としてインテルやアップルが知られていようが、彼らは日本の高精度な設備、部品、システム・インテグレーションなどがなければ成り立たない。インテルは、優秀な資材・サービス供給企業に「プリファード・クオリティー・ サプライヤー(PQS)賞」を与えているが、2016年に18社中11社が日本企業であった。特許収入も日本は米国に次ぐ世界第2位である。ノーベル賞の受賞者も2000年以降についてみれば、日本は米国に次2番目に多い。
  第四に、日本経済の実力である。新華社は、日本の海外投資資産が大きく伸び、2015年に約10兆ドルとGDPの2倍あり、これは中国GDPの80%に相当する。国内外を足すと中国を上回るものがある。
  CCTVは「深度国際:日本、危険的潜在力」という言い振りで日本の実力を過小評価してはいけないと述べている。上述したように日本の製造業の研究開発能力の高さ、各分野で米国を上回り技術力を保持していることなどをあげ、表面的に日本の実力を見てはいけないと言っている。
  報道からは日本を侮ってはいけないと言い、競争相手として認識を新たにしなければならないという危機意識を煽る姿勢も垣間見られる。しかし、それよりも本音のところでは日本との差がなお大きいものがあるということを冷静に認識し、日本から学びたいという姿勢も現れているものと考える。少なくとも市民の反応はこのようなものが多いようである。中国の日本に対する姿勢・評価が実務レベルでは変わってきているのではないかとも思う。

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