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Last Update:2016/11/22
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コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第320回 ブリジストン:商業賄賂供与で処罰

Bridgestone China was punished by commercial bribery

(2016年11月22日)

  2016年10月下旬にブリジストン(中国)投資有限公司が商業賄賂の疑いで15万元の罰金を科され、併せて違法所得1,739万5,026.49元が没収された。
  上海市工商行政管理局が行った調査によると事件の概要は、以下のとおりである。
  2013年9月から2014年4月までブリジストンは、代理店を通じて販売店に「ブリジストン」のタイヤ販売につき「販売奨励」の名目でタイヤ1本につき15〜20元を奨励金として供与していた。
  この奨励金は、直接的な金銭の受け渡しではなく、ブリジストンが北京京東世紀信息技術有限公司から386万5620元相当の京東商業モールの電子商品カードを購入し、これを販売店に渡していた。販売店が販売した“ECOPIA”シリーズのタイヤは合計で22万3,188本、販売額は合計9,064万8,668.59元(税金を含まない。)となった。事件の発覚までにブリジストンは、1,275の販売店に京東商業モールの電子商品カードを供与し、その金額は合計386万5,620元であった。それでも、コスト、税金及び関係費用を控除した合計は7,553万4,422.40元でブリジストンの利益は合計1,511万4,247.19元であった。また、2013年12月31日までにブリジストンは代理店がスタッドレスタイヤを購入すると500本につき1枚5,999元の旅行カードを奨励として供与していた。
  中国政府は、反腐敗運動を展開する中で公正、公平な競争を阻害する贈収賄行為を厳しく取り締まろうとしている。このとき民間企業間の取引であっても、公正、公平な競争を阻害する行為であれば「商業賄賂」と認定し、行政罰、刑事罰を貸すようになっている。2016年4月18日には最高人民法院と最高人民検察院が共同で「汚職賄賂刑事事件の処理における法律適用の若干の問題に関する解釈」(以下。「解釈」という。)を発布した。この解釈は、今日の中国の経済発展段階に合わせて、汚職、収賄、公金横領、贈収賄などの罪に該当する金額の基準を改訂し、判断基準の明確化を図ったものである。
  中国における商業賄賂供与事件が後を絶たない。中国に進出している外国企業にとっては、リベートという悪しき商取引慣行が根付いている中国で、常識の範囲内と認定される基準と賄賂と認定される基準との境界が、実務上は定かではないという問題に頭を悩ませているのが実情である。中国に現地法人を有している日本企業には、中国現地法人の裁量に委ねず、本社がしっかりとコンプライアンス体制を整え、基準を設定し、中国現地法人を管理、規制し、現地従業員を教育することが求められる。贈答品などが商業賄賂に認定されることを避けようとする場合、例えば、米国の連邦海外腐敗行為防止法」(Foreign Corrupt Practices Act:FCPA)及び同リソースガイドで示されている企業の抗弁要件などが参考となるのかも知れない。

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