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Last Update:2018/4/11
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コラム『チャイナウォール』-中国人の法意識-

 第353回 先進的製造業発展の方途

(2018年4月11日)

  米国トランプ政権は、2018年4月に中国の知的財産の侵害に対して、「中国製造2025」をターゲットにして約1300品目に25%の関税を課す制裁関税発動の原案を発表した。
  「中国製造2015」とは、2015年5月に国務院が正式に発布した製造業の発展目標である。具体的には、(1)第1段階として、2025年に製造強国の仲間入り、(2)第2段階として2035年に製造業全体を世界の製造業先進国の中レベルに引き上げ、(3)第3段階として、2049年に世界の製造強国の前列に位置する、というもので“三歩走”の製造強国戦略目標と言われている。中国は、とりわけ、(1)新素材、バイオ医薬、電子情報、5G、省エネなどの新興産業の発展、(2)インターネット、ビッグデータ、AIおよび製造業の融合、(3)製造業の重要技術レベルアップなどの分野を強化したいとしている。
  米国が、対中国制裁関税を発動するかも知れないところ、中国は、米国に対する対抗措置とは別として、「中国製造2025」発展の青写真をどのように描くのか。
  中国は、(1)非理性的な投資を規制し、(2)“一帯一路”構想(One Belt and One Road Initiative)を促進する投資を奨励することで「中国製造2025」を実現していこうとする。
  非理性的な投資とは、国家発展改革委員会が2018年1月31日に発表した「外国投資に敏感な産業のリスト(2018版)」に記載されるものである。これは、初めて単独で発表された敏感産業カタログである。このカタログには、兵器設備の生産・維持・補修、国境をまたがる水資源の開発・利用、メディアおよび「国務院の海外投資方向指導意見に関する通知」に基づき制限される産業(不動産、ホテル、スタジオ、エンターテイメント、スポーツクラブ、海外に設立された具体的事業を行なっていない投資ファンドまたは投資プラットフォームなど)が含まれる。
  奨励業種は、中国の有利な生産能力、高品質な設備、技術基準の生産を促進するための“一帯一路”建設に資するインフラ建設プロジェクト、ハイテク・先進的製造業、海外の研究開発センター、海外の石油・ガス、鉱物およびその他のエネルギー資源探査および開発プロジェクト、農林水産業、畜産業、漁業その他分野の事業、文化、物流およびその他サービス分野の投資プロジェクトである。また、資格を有する金融機関に対しては、海外に支店やサービスネットワークを開設し、法令に基づいて業務を遂行することも支援している。
  経済参考報(2018年4月4日)によると、国家発展改革委員会および工業情報部は、戦略的新興産業およびハイエンド製造業が産業全体の競争力を決定する重要な要素であると認識し、当面の重点にしたいとしている。この分野には、航空宇宙、大型航空機、高速鉄道、CNC工作機械、新エネルギー車がある。すでに一定の進歩を遂げ、国際的シェアも増やしている。 さらに、5G、スーパーコンピュータ、ドローンなどの新しい産業分野でも世界をリードしつつある。中国は、今後、これらの産業分野をさらに積極的に発展させようとしている。

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