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(2005年2月23日執筆)
中国は、2008年の北京オリンピックを技術力、経済力、そして国力を高める更なる契機としたいところだ。外国企業は、拡大する中国のマーケットに是非とも参入したい。世界の多国籍企業は、北京オリンピックのスポンサーの地位獲得を巡って、既に熱い戦いを始めている。 企業は、広報活動、商品の販売促進活動により、知名度向上、企業のイメージアップを図りたい考えである。この場合、企業として、どのような問題に留意しておく必要があるのか。最大の要諦は、中国人(消費者)の意識を正確に認識することであろう。 では、最近の中国人(消費者)の意識には、どのような傾向があるのか。愛国精神、ナショナリズム、中華思想の高揚ということがあると考えられる。 1月27日に中国で吉野家フランチャイズ店の景品事件が報じられた。この事件は、次のようなものであった。 吉野家のフランチャイズ店である洪氏集団(同社は、香港法人であり、吉野家ディー・アンド・シーとフランチャイズ契約を締結し、中国国内で牛丼店を展開している。)が、中国の国旗法に違反した景品による販促活動をしたとして、当該景品の回収事件が発生した。この景品とは、カレンダーに中国国旗「五星紅旗」に似た五つの星を胸につけた鶏のキャラクターを印刷したものである。客らから、国旗の図柄を許可なく広告などに使うことを禁じた国旗法に違反するとの声が上がっていたという。そこで、洪氏集団(香港)が、景品の回収をした。 吉野家フランチャイズ店の景品事件のような事件は、必ずしも初めてではない。例えば、2004年にはメトロが、同社の社旗と中国国旗を同じ高さで掲揚しているのがけしからんというクレームをつけられている。国旗を降ろす行為に厳粛さがないとクレームを付けられたスーパーもある。外国企業ばかりがクレームの対象になっているということでもない。 著しい成長を見せる中国市場に参入し、成功するには、マーケティング、セールス・プロモーション戦略の巧みさが重要である。そこでは、中国人の意識を理解することが欠かせない。 吉野家フランチャイズ店の景品事件の背景には、次のような中国人の意識もあるのではないかとも考える。中国人は、鶏は、弱いものとの意識があり、あまり良いイメージをもっていない。例えば、中国語で「鶏胆」(小心者、臆病者)、「鶏毛官」(小官、小役人)などの言葉がある。「鶏」の語は、比較的にマイナスイメージの四字成語に用いられることが多い。吉野家フランチャイズ店への消費者からのクレームも、単に国旗に似たマークを使用したというよりも、弱いイメージをもった鶏に使用したということが、クレームを助長したのではないかとも思う。 セールス・プロモーション戦略においては、広告が重要な意味をもつ。広告法で禁止されていることも把握しておく必要がある。広告法(1994年10月27日公布、1995年2月1日施行)7条は、以下の状況が見られる広告をしてはならないとしている。
次号の更新は3月9日(水)ころを予定しています。
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