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LastupDate:2005/5/11
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コラム 『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第41回 中国の伝統文化“コネ”と企業統治

(2005年5月11日執筆)

     中国は、経済グローバル化の中で会社のあり方、とりわけ企業統治のあり方について「公司法」改正を含めた検討をしている。経済グローバル化というときにWTOが中国に求めているのが、市場における公正な競争の確保であり、透明度の向上である。これを会社法制の中で、如何に確保してゆくか。
   このときにネックとなるのが、第一に、中国の伝統文化“コネ”の問題であり、第二に、貧富格差の拡大にありそうである。
   中国の伝統文化としての“コネ”問題について香港大学の張憲初教授は、「中国の伝統文化の中で最も公平な市場競争としっくりとしないのは、恐らく“コネ”なのではないか。……中国の会社実務の中で、深刻な汚職腐敗、市場行為の歪み、過度な行政関与のいずれもが、すべて“コネ”と関係している。」(「企業統治のグローバル化と経済体制移行国家の教訓」呉志攀・浜田道代・虞建新編『会社統治および資本市場の監督管理』名古屋大学、2004年)と述べる。
   汚職腐敗、市場行為の歪み、過度な行政関与の根源的問題として存在すると思われる“コネ”が、今、なぜ一層顕著になっているのか。
   貧富格差の拡大については、エイミー・チュア(Amy Chua)の『富の独裁者(World on Fire)―驕る経済の覇者:植える民族の反乱』(久保恵美子訳、光文社、2003年)が、市場経済化がもたらすリスクということを再考させる。エイミー・チュアは、次のように叙述する。
   「グローバル化の支持者の多くは、市場経済と民主主義の組み合わせを、発展途上国が抱える多様な問題を解決するための万能薬だと考えている(at.20)。……これに対し、……少数民族が膨大な富を独占する一方、慢性的な窮乏状態にあることの多い大衆は、民族主義に根ざす嫉妬心や憎悪を募らせている(at.22)。……グローバル化の“トリクルダウン効果(社会の上層部に富が集まると、その波及効果で社会の下部層も潤うという効果)”によって、発展途上国では富裕層のみならず貧困層も利益を得ているという(at.26)(が、)……“市場経済のグローバル化が生み出す著しい貧富格差をもっと注目すべきである”……。市場経済と民主主義は、長い目でみれば発展途上国や旧共産主義国の政治・経済に大きな希望をもたらす可能性が十分にあるが、短期的には貧困や紛争といった問題を引き起こす原因になる(at.27)。」
   エイミー・チュアの研究は、世界経済の中で市場経済と民主主義を提唱することは、ときには富の独裁者と極端な貧困層を作り出し、これに対して民族紛争が生じることを深刻に受け止めるべきであるというものである。市場経済化を急激に推進する中国国内経済において、先進国と発展途上国の間に生じている問題と同様のことが発生しているのではないかとの懸念がある。中国における富の独裁者は、大都市の官僚、私営企業家などであろうか。
   このような状況の中、中国は会社法改正の中で、どのような企業統治をすべきか、このためにどのような会社の機関設計が望ましいのかついて検討している。企業統治のあり方については、中国進出外資系企業にも求められるものである。中国の会社法改正の内容を注目しておきたい。



次号の更新は5月25日(水)ころを予定しています。

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