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(2005年5月25日執筆)
5月22日、およそ8ヵ月ぶりに北京にきた。目的は、JICAの「中国経済法・企業法整備プロジェクト」2005年度実施協議のためである。 23日、30℃を超える夏の太陽の下、関係先との打合せの後、若干の時間があったので、中国訪問が初めてのメンバーを含む3人がスーツ姿で頤和園に行った。平日にもかかわらず多くの人出があり、半袖姿の人が大半。汗を拭きながら歩く人が多い中、さぞかし日本人と目に付くのでは。 反日デモから差ほど時間が経過していないこともあり、日本人が一般中国人にどのように見られるのか気になるところである。ところが、ほとんど目にも留められなかったといってもいいのだろうか。二人連れの老婦人から、カメラのシャッターを押してくれと同行の者が頼まれた。日本での報道とのギャップがあるのか。
さて、標記のプロジェクトは、JICAが対中国経済協力計画の重点分野「改革・開放支援」のガバナンス強化支援の一環として、企業関連法整備の支援をしようとするものである。具体的には、中国側からニーズの高かった公司法、独占禁止法、市場流通法規の3分野について、日本の立法、法執行の経験、学識経験者の知見を紹介し、中国の当該技術を高めてもらおうというものである。 2004年11月18日にJICAが、中国側カウンターパートである商務部と協議議事録に署名した。中国側の参与機関には、全人代常務委員会法制弁公室、国務院法制工作委員会などがある。2005年に入り、日中専門家・機関(大学教員、公正取引委員会、経済産業省)による研究会、訪日研修などが行われている。今回訪中は、2005年度(平成17年度)の研究会、セミナー、訪日研修のテーマなどにつき協議することが目的である。 このコラムの副題「日中法制調和の実現を目指して」は、布井千博・一橋大学大学院教授(本プロジェクトの公司法分野の専門家委員会委員長)による『ビジネス法務』(中央経済社、2005年6月号)の巻頭言の見出しである。日中間の法制に関する理解が深まり、調和が図られれば、中国に進出している日本企業にとっても中国における事業活動において法的安定性の確保が増すものと考える。
次号の更新は6月8日(水)ころを予定しています。
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