中国事業を展開する中で、今、最も重要な課題と認識されているのが有能な人材を確保することが難しくなっているということである。専門技術者、国際的な経営管理がわかるマネージャー、戦略的思考のできるマネージャーなどの人材が得がたくなってきているという。
このような人材を確保し、また離職されないように企業に留めておくに際しては、魅力ある企業文化をもつことが有用であるという(Virginia A. Hulme, Short Staffed, The China Business Review, March-April 2006, at21)。魅力ある企業文化とは、従業員同士および従業員と管理職とがコミュニケーションしやすく、互いに真摯に関心を持ち合い、チームで仕事ができるような環境が形成されているということである。
マネージャー・クラスの人材(ホワイトカラー)は、(1)会社の総合的な補償制度、(2)キャリアの発展機会、(3)技術・技能の活用機会、(4)直属上司との良好な関係、(5)給与というような順番で企業の価値を計るという。
一般労働者(ブルーカラー)は、給与次第と認識されがちだが、実際には前述したとおり企業文化が魅力的であるか否かが重要であるようだ。すなわち、一般労働者は、チームワークが取れることを好み、各労働者に対して情実人事などがなされない公正な評価が与えられる仕組みがあるか、すなわち透明性の高い経営管理がなされているかといったことが、当該企業で継続して勤務するか否かを判断する重要な基準と考えている。
企業は、ホワイトカラーもブルーカラーも企業の同一目標を共有化できる仕組みを考えることが重要であるといわれる。目標が共有化されたとき、従業員のモチベーションは向上する。目標共有化の仕組みの一つに、スローガンがある。中国では、建国以来さまざまなスローガンが掲げられてきていることは周知のとおりであろう。
以下は、上海のある企業の作業現場にある品質管理のためのスローガンである。