コラムに関する感想
お問い合わせ
LastupDate:2006/11/22
トップチャイナウォール
コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第78回 目標の共有化で高まる中国人労働者のモチベーション
――品質管理意識向上のためのスローガンの効果

(2006年11月22日)

   中国事業を展開する中で、今、最も重要な課題と認識されているのが有能な人材を確保することが難しくなっているということである。専門技術者、国際的な経営管理がわかるマネージャー、戦略的思考のできるマネージャーなどの人材が得がたくなってきているという。
   このような人材を確保し、また離職されないように企業に留めておくに際しては、魅力ある企業文化をもつことが有用であるという(Virginia A. Hulme, Short Staffed, The China Business Review, March-April 2006, at21)。魅力ある企業文化とは、従業員同士および従業員と管理職とがコミュニケーションしやすく、互いに真摯に関心を持ち合い、チームで仕事ができるような環境が形成されているということである。
   マネージャー・クラスの人材(ホワイトカラー)は、(1)会社の総合的な補償制度、(2)キャリアの発展機会、(3)技術・技能の活用機会、(4)直属上司との良好な関係、(5)給与というような順番で企業の価値を計るという。
   一般労働者(ブルーカラー)は、給与次第と認識されがちだが、実際には前述したとおり企業文化が魅力的であるか否かが重要であるようだ。すなわち、一般労働者は、チームワークが取れることを好み、各労働者に対して情実人事などがなされない公正な評価が与えられる仕組みがあるか、すなわち透明性の高い経営管理がなされているかといったことが、当該企業で継続して勤務するか否かを判断する重要な基準と考えている。
   企業は、ホワイトカラーもブルーカラーも企業の同一目標を共有化できる仕組みを考えることが重要であるといわれる。目標が共有化されたとき、従業員のモチベーションは向上する。目標共有化の仕組みの一つに、スローガンがある。中国では、建国以来さまざまなスローガンが掲げられてきていることは周知のとおりであろう。
   以下は、上海のある企業の作業現場にある品質管理のためのスローガンである。  

    ★ 指導者への周知事項
  1. 「品質第一、信用第一、顧客第一」の思想を堅持し、厳格に「五不准」(5つの禁止事項)を行い、生産活動においては科学的管理を行い、品質管理体系を完全にする。
  2. 「顧客は私の心の中にいて、品質は私の手の中にある。」という品質教育活動を怠けることなく堅持し、企業従業員の品質意識を向上させる。
  3. 品質責任制を堅持し、品質問題に関しては「三不放過」(3つの放置禁止)原則を堅持し、労働の品質保証によって工程の品質を保証し、工程の品質確保によって製品の品質を確保し、(指導者に)品質の否決権(品質の適否判断権)をもたせる。
  4. 新技術を採用し、新製品の開発を行い、新奇性のある、品質の優れた、販売促進可能性の高い製品をもって顧客のニーズを満足させる。
  5. 販売後のアフター・サービスを強化し、顧客に優良なサービスを提供する。
    ★ 「五不准」(5つの禁止事項)
  1. 不合格の原材料を生産に投入してはならない。
  2. 不合格の外注、外部からの購入部品・デバイスを生産ラインに投入してはならない。
  3. 不合格の半製品を後ろの生産工程に流してはならない。
  4. 不合格の製品を出荷してはならない。
  5. 不合格の製品を販売額に参入してはならない。
    ★ 「三不」政策
  1. 自分が不良品を生産してはならない。
  2. 前工程の不良品は受け取らない。
  3. 絶対に自分が出した不良品を後工程に流さない。
    ★ 五つの「明確」  
    ロットを明確にし、数量を明確にし、責任を明確にし、生産状況を明確にし、品質状況を明確にせよ。
    ★ 「三不放過」(3つの放置禁止)
  1. 品質問題の原因が不明確なまま放置しない。
  2. 品質問題の責任が不明確なまま放置しない。
  3. 品質問題の是正および予防措置が定着していないまま放置しない。

















次回の更新は12月13日(水)の予定です。

※サイトの記事の無断転用等を禁じます。


© Copyright 2002-2006 OBC-China Reserved.  
"chinavi.jp" "ちゃいなび" "チャイナビ" "中国ナビ"はOBC-Chinaの商標です。