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LastupDate:2007/9/12
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コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第97回 関係学の弊害
——商業賄賂の醜聞に揺れるシーメンス

(2007年9月12日)

  ドイツの明鏡在線(筆者はこの報道機関名を知らないので、中国語標記のまま使用する)は、シーメンスが世界各国で商業賄賂をばらまき、その額は10億ユーロにのぼり、とりわけ中国では50%の業務で商業賄賂を提供していると報道している。
  北京商報によれば、シーメンスはある中国企業に600万ユーロもの献金(=賄賂)を提供しているという(筆者は北京商報の記事を入手していないので、2007年8月29日付の南方都市報によった)。
  シーメンスのあるマネージャーの話によると「中国ではおよそ9割の取引においてインフォーマルな中国人を介在させることが必要で、インフォーマルなコネクションを形成できる中国人がいなければ、事は成り立たない」という(「西門子賄賂丑聞蔓延,中国市場“重災区”」南方都市報 2007年8月29日)。
  シーメンス中国は、再三にわたって50%の業務で賄賂を提供しているということはないと否定しているが、証拠は示されていない。
  実際に2007年初め、長沙市第四人民医院の副院長が医療機器の購入および建設工事の発注に際して、シーメンス中国集団およびこの関連会社から128万元の賄賂を受け取ったことが発覚し、刑事罰を科されている。また、済南市中級人民法院は2000年に山東省郵電管理局の技術主管が、上海シーメンス通信電源有限公司から1998年以来継続して賄賂を受けていたという事件を審理していることなどが知られている。
  医院の副院長に対する賄賂は直接の発注責任者に対するものであり、郵電管理局の技術主管に対する賄賂は関係を作り自社商品の販売を有利にしようとするものである。
  ある業界関係者は、外国企業が中国で入札プロジェクトに参入しようとすれば、まずコネクションを作らなければならないという。このコネクションというのは、中国政府の各方面にコネをもっているブローカーを見つけ出すということである。このブローカーは,あるプロジェクトのためにペーパーカンパニーを作る。このペーパーカンパニーの銀行口座には、外国企業が送金した資金(裏金)が蓄えられることになる。外国企業は、このペーパーカンパニーと一緒になってプロジェクトに参入するわけだが、プロジェクトの実施過程で必要な賄賂は、このペーパーカンパニーから出金されることになる。中国の裏の商慣習によれば、一般にプロジェクトの総金額の2〜3%に相当する賄賂が必要であるという。
  中国において関係学は、ビジネス上でなくても社会生活の中で不可欠の知恵・慣行であり、有用である。必ずしも悪いものばかりではない。しかし、この関係構築のために、しばしば賄賂が使われることがある。中国でビジネスを行う企業は、賄賂を用いない関係構築のあり方を身につける必要がある。


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